2014年8月30日土曜日

ヒンドゥーの変わった容姿をした神々に対する、よくある質問:「本当にこんな姿をした神様がいるの?」

ヒンドゥーの神々は、腕が何本もあったり、動物の顔をしていたり、

ちょっと現実離れした姿で、極彩色に個性豊かに描かれています。

左から、ラクシュミー(富の女神)、ドゥルガー(創造・破壊の力)、サラスヴァティー(智恵・学問の女神)。
それぞれの手に、象徴的なアイテムを持っている。


良くある質問は:

「こんな姿をした生き物が、本当にそこなへんをウロウロしているのか?」

こんな感じで?

「こんな形をした神様の存在は信じられないんだけと、どうやって受け止めたらいいのか?」

答えはずばり:

これらのフォーム(形)は、「ウパーシャ」と呼ばれる、

私達が全体と関係を持てるための助けとなる為に用意されたフォームなのです。

別に、それらのフォームを持っている個人が、どこかでウロウロしている必要はありません。

「神様を見てみたい!」という気持ちから、特定のフォームを見つけることが

目的になっている人達は沢山いますが、

この世界で見出したいのは、特定のフォームそのものではなく、

そのフォームが言い表さんとしている、普遍的な摂理、

自分の中にも外にも遍在する、物理や心理学の法則を認識出来るように、

それぞれの特定のフォームを頭に思い浮かべるように、文献の中で処方されているのです。


例えば:

障害物を司る神様、ガネーシャに祈ろう!と思い立った時、、、

この世界には「障害物全般」という、因果関係という法則に基づいて展開される、

概念とか摂理というものがあります。

自分個人に降りかかる障害物を取り除く為に、

「障害物全般」という摂理に働きかける行動として、祈りをするわけです。

なにかを祈るときに、「全般という摂理」を頭の中で想像する事を、

「ウパーサナ」といいます。

では、障害物全般と言う摂理を、イメージしてみよう!

とは言っても、、、何を考えていいのかいまいちピンと来ません。

そんな私達の為に、ヒンドゥーの文化では、

「これこれこういう形の像を想像すればよい。」と、

マントラやシュローカといった祈りを伝える文献の中で教えてくれているのです。

人気のガネーシャの容姿も、プラーナや、ガネーシャストートラムといった文献で

細かく伝えられています。

それを基にして、今私達が見ているガネーシャの姿が描かれているのです。

日本でも人気のガネーシャ君。
वक्रतुण्ड महाकाय सूर्यकोटिसमप्रभ ।
निर्विघ्नं कुरु मे देव सर्वकार्येषु सर्वदा ॥
vakratuṇḍa mahākāya sūryakoṭisamaprabha |
nirvighnaṃ kuru me deva sarvakāryeṣu sarvadā ||

वक्रतुण्ड [vakratuṇḍa] - 曲がった鼻を持った
महाकाय [mahākāya] - とても大きな体をした
सूर्यकोटिसमप्रभ [sūryakoṭisamaprabha] - 何億もの太陽の光を放つ
देव [deva] - デーヴァよ!
सर्वकार्येषु सर्वदा [sarvakāryeṣu sarvadā] - 全ての行いにおいて、常に、
निर्विघ्नं कुरु मे [nirvighnaṃ kuru me] - 私の為に障害物を取り除いてください。

このようなプレーヤー(祈り)の中で、ガネーシャの姿形が描かれています。

その姿形をイメージする事によって、「全ての障害物における摂理」という、

宇宙規模の「全体」と関わり、働きかけることが出来るのです。

この「祈る個人」が「宇宙全体」に働きかけるという行為が、

「個人」と「全体」との関わりの認識を助け、さらに

「個人」と「全体」は、同一である事を理解出来る準備をしてくれるのです。


他の神々も同様です。

ラクシュミーやサラスヴァティー、ヴィシュヌやシヴァなどの神々の

姿形や持ち物、乗り物、特徴などを描いたプレーヤー(祈り)の句は沢山あります。

これから機会を見つけて、どんどん紹介していきますね。


宇宙の摂理は1つという単位にまとめられますが、

富、知識、パワー、創造、維持、破壊、、、といったそれぞれの視点で、

それぞれの形が、ウパーサナの為に文献で教えられているのです。


左から、破壊の象徴シヴァ神、維持継続の象徴ヴィシュヌ神、創造の象徴はブランマ神。
全ては1つだけれども、卵と雛、成鳥のように、視点を変えれば形も変わる。

「宇宙全体の1つの摂理と、自分とは一体である」という事実を、

常に明らかに観続けられる助けとして、ヒンドゥーの文化があるのです。





関連記事:

4つの人生のステージ(アーシュラマ)

カースト制度について

多神教?一神教?無神教?

2014年8月28日木曜日

ガネーシャのお祭り ガネーシャ・チャトルティ

ガネーシャのお誕生日。


家族揃って。

ガネーシャ・チャトルティ、別名ヴィナーヤカ・チャトルティ。

ガネーシャの別名がヴィナーヤカ(リーダー)だからですね。

ヒンドゥーの暦で、バードラパダという月(通常8月)の、

新月から数えて4日目が、ガネーシャ・チャトルティです。

チャトルティとは、月齢4日目の日を指す言葉です。

2014年は8月29日にあたります。


この日はインド全国で、様々な形で祝われています。

一番盛大に祝うのは、ガネーシャ信仰の強い、マハーラーシュトラ州です。

土でガネーシャの像を作り、10日間プージャーをして、

10日目に、その像を、海や川に流してしまう(ヴィサルジャナ)のです。

プージャーがされる祭壇から、ヴィサルジャナが行われる水辺までは、

日本のお神輿の行列と同様に、ガネーシャの像を神輿にして担いで、

皆で揃って掛け声を掛けながら町中を練り歩きます。


ガネーシャ・チャトルティの起源


このお祭りがインド全国に浸透した仕掛け人は、ガンガーダル・ティラックという人。

フリーダム・ファイターと呼ばれる、インドの独立運動家。

英国やクリスチャンの陰謀で、政略的に弱体されたヒンドゥー文化を、

人々の中で復興させるために、このガネーシャ・チャトルティを全国に広めたのです。


ボンベイでは10日かけて盛大に行われます。

日本でも、ガネーシャのシュローカなどを唱えながら、

障害物の無い、家庭や事業の繁栄や、人生の成功を祈ります。

ガネーシャーヤ ナマハ




関連記事:

ティラカム 額につける色々

多神教?一神教?無神教?

知られざるインドの事情

ヒンドゥーの変わった容姿をした神々に対する、よくある質問:「本当にこんな姿をした神様がいるの?」

>> トップ目次へ >>

2014年8月1日金曜日

アーユルヴェーダ体験記 その3―いよいよトリートメント(処置)

お薬を飲み始るように言われたのが日曜日。

その5日後の金曜日から、オイルを体中に塗りこむマッサージ、

「アビアンガ」が始まりました。


まずはドクターに会って、少しだけコンサルテーション。

お薬の効果を聞かれる。むくみは少し良くなったか?

良くなったような気もするけど、相変わらずむくんでます。

ストレッチをしたり、ふくらはぎを暖めたりマッサージしたりすれば、

目に見えて効果が出るのだけれども、面倒くさがりなもんで、ちゃんとケアしていません。。

お薬でむくまない体質に改善出来れば嬉しいのですが。

どろどろに煮出した(苦~い)液体タイプのお薬を「カシャーヤ」と呼びます。

お薬を飲むのが辛い、とこぼしたら、同じ薬でタブレットタイプのもあるとのこと。

でもやっぱり、タブレットよりも本来のカシャーヤが一番効きが良いのだそう。

我慢するか。。


アビアンガをする処置室はすべておニューで快適。

マッサージ台は、一本の木をくりぬいて作ったものだそう。

オイルは、甘辛~いにおいのする、いかにもアーユルヴェーダって感じの赤茶色のオイル。

あとで領収書を見たら、3種類のオイルを、私にあわせて調合してくれていたようだ。

(ダンワンタラム Dhanwantaram oil, サハチャラディ Sahacharadi oil, and アサナ・ヴィルワディAsana Vilwadi oil)

アーユルヴェーダのオイルの製作法の説明を見つけました。

とても手が込んでいるんですね。


マッサージしてくれるのは、若い女性の2人。

ちなみに、女性は女性が、男性は男性がマッサージするものです。

服を脱いで、使い捨ての簡易ふんどし?を履いて、

頭のてっぺんにオイルをちょこんをのせられて、

まずはみんなでお祈り。ヴィシュヌの1つのフォームである、

ダンヴァンタリという薬学の神様の像が処置室には飾ってあります。

そこに向かって皆で手を合わせて、シュローカを唱える。

サンスクリット語の先生をしている私にとっては、

ちょっと発音矯正をしたくなるような、かなりタミル語訛りのプレーヤー(祈り)。


नमानि धन्वन्तरिमादिदेवं सुरासुरैर्वन्दितपादपद्मम् ।
लोके जरारुग्भयमृत्युनाशं दातारमीशं विविधौषधीनाम् ॥

namāni dhanvantarimādidevaṃ surāsurairvanditapādapadmam |
loke jarārugbhayamṛtyunāśaṃ dātāramīśaṃ vividhauṣadhīnām ||

I salute (नमानि) to Danvantarin (धन्वन्तरिम्) (one form of Vishnu),
who is the first Deva (आदिदेवम्),
whose lotus feet is saluted (वन्दितपादपद्मम्) by all the gods and daemons (सुरासुरैः),
the destroyer (नाशम्) of old age (जरा), disease (रुग्), fear (भय), and death (मृत्यु) in the world (लोके),
the giver (दातारम्) and the lord (ईशम्) of various medicinal herbs (विविधौषधीनाम्).


そして、2人がかりでマッサージ。

リラックス♪って感じではありません。

結構パワフルな感じで、台からすべり落ちないように踏ん張ってしまう。

押される力に対抗する力が入ってしまうのだけれど、それで筋肉が鍛えられそう。

リンパの流れに沿って2人で対照的にせっせと1時間マッサージをしてくれる。

マッサージの体勢は7つのポーズで、座ったり、仰向けになったり、横になったり。


マッサージが終わったら、緑豆の粉でお風呂に入れてくれる。

余分なマッサージ油を落としつつ、皮膚表面にマッサージ油を残す、自然の方法です。

でも、頭皮や髪の毛にはちょっと、、、

やっぱり日本の湯船のお風呂が一番です。

もう、日本のお風呂に2年以上も入っていない。。。

>> トップ目次へ >>