2014年10月2日木曜日

ヒンドゥー教の聖典:その1―ヴェーダの概要

ヒンドゥー教において、聖典と呼ばれるものには沢山ありますが、

まず、最初に数えられるべきは、ヴェーダです。

ヴェーダ以外の聖典は、ヴェーダに基づいているからです。

ヴェーダで教えられている真理、それを理解するための価値観や生活規範に沿った

生き方のことを、一般的にヒンドゥー教と呼ぶのです。

サーマ・ヴェーダを勉強する為に親元を離れて、先生の元で生活をしている学生達。
ヴェーダの勉強をするには、毎日24時間、生活の規則を守る必要がある。
ちなみに私は、この子供たちにサンスクリットを教えています。
伝統的なヴェーダの歴史の中で、初めての外国人女性講師だと思われます。

ヴェーダで教えられいる内容は、ある特定の時代や場所、

人種に限られたものではありません。

普遍の摂理、そしてそれを支える永遠というものについて教えているので、

宇宙の何処の場所でも、前回のビッグバンの創造の中でも、

今回分の宇宙が全部ブラックホール化して、また次回のビッグバンの後の創造の中でも、

繰り返し、同じヴェーダの内容が教えられるのです。

このことから、ヴェーダの教えられている、この世界、この宇宙の在り方を、

「サナータナ(永遠の)・ダルマ(秩序)」と呼びます。

ヒンドゥーとは、後に、サナータナ・ダルマに基づいて生きている人達を総称した、

外国人によって付けられた名前です。

ちなみに、インドという国名も、外国人による名称です。

インド人たちは自分の国を、「バーラタ」と呼びます。

ラーマーヤナに出てくる、ラーマ王に替わって献身的に国を治めた、

ラーマの弟「バラタ」から由来しています。


先述のように、ヴェーダで教えられている内容は、

「サナータナ(永遠の)・ダルマ(秩序)」であるゆえに、

”ヴェーダは紀元XX年にXXによって作られた”とは言えません。

万有引力の法則は、ニュートンによって17世紀に発見されました。

しかし、17世紀以前にも、引力の法則は存在していました。

普遍である法則は、「発明」ではなく、「発見」されるのです。

日本語では、「見る」という字が発見という言葉の中に使われていますが、

サンスクリット語では、ヴェーダは「シュルティ(聞かれたもの)」と呼ばれています。

研究に没頭することによって研ぎ澄まされた科学者の精神が、

凡人が見過ごしてきた、そこにある事実を発見出来るように、

祈りと規律的生活に専念し続けた聖者が、ヴェーダのマントラを発見したのです。


考え中


英語で発見は「discover」と言います。既に存在している知識が、

無知や間違った考え、物の見方によって、cover されているのです。

それを取り除くのがdiscoverです。


ヒンドゥー教の聖典:その2―4つのヴェーダ は次回にします。



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