2015年3月8日日曜日

ガーヤットリー・マントラの代替としてのシュローカと詳しい意味

ガーヤットリー・マントラを唱える資格


前回にも説明したように、そしてまたの機会にも説明しますが、

日本女子は、ガーヤットリー・マントラを唱える宗教的資格はありません。

男子でも、日本人以外でも、このマントラを唱える義務を開始する儀式(ディークシャ)をもらった人にしか資格が無いからです。

でも、そんなことは問題ない。

なぜかというと、数は少なくなりましたが、伝統的なインド男子達が、

私達皆の為にガーヤットリー・マントラを毎日何回も唱えてくれているからです。

ガーヤットリー・マントラは、私達皆の思考を正しい方向への導きを祈るマントラなのです。

だから、ガーヤットリー・ジャパを日課の義務としているインド男子に感謝しましょう。

アウトソーシングってやつですね。

インドみたいな国に、ソフトウェア開発やコールセンターのアウトソーシングなんかを任せるなんてもったいない。

祈りとそのご利益(プンニャ)を、インドの祈りのプロの専門家にアウトソーシングをするのが、

インドという国の正しい使い方です!(私は本気。)

プージャー(祈りの儀式)とか、ホーマ(火を焚く祈りの儀式)とか、

ビクシャー(ブランマナ達への食べ物やダクシナの奉仕)とかは、

外国に居る人でも頼むことが出来ます。

私も毎月1回のサンカタハラチャトゥルティ(ガネーシャ)のプージャーと、

毎月2回のプラドーシャ(シヴァ)をこちらのテンプルで年間でお願いしています。

インドのお寺の人達も潤って、文化の継承につながるし、

頼むほうも、恩恵とか、宇宙の在り方とか、いろんな繋がりがどんどん見えて、

安心とか感謝とかが、よりクリアーになって、いいと思います。

また、御礼のお返しが出来ない人や動植物達に、

お金でも物品でも時間でも、優しい言葉でも共感を示す行動でも、少しでもいいら与えるという行為も、素晴らしい祈りの行為です。

また話が飛びましたが。。


マントラとシュローカの違い


マントラとは:

ヴェーダ聖典で教えられているのが「マントラ」で、それを唱えるのには特別な資格が要ります。

発音の正確さを求められるのはもちろんですが、これに抑揚が関わっています。

万が一間違って発音してしまうと不本意な結果を招くとされているので、特別な訓練を受けた人以外は触らぬ神に祟り無しで、唱えないのが無難です。


シュローカとは:

スムルティと呼ばれる聖典で教えられているが「シュローカ」で、唱えるのには特別な資格が要りません。

ある程度決まったチューン(音)がありますが、発音と長さがあっていれば、どのようなチューンでチャンティングするかは自由です。


ガーヤットリー・マントラの代替としてのシュローカ


アウトソーシングもひとつの方法ですが、

自分で、自分自身の心を使って祈ることの代用は何もありません。

ガーヤットリー・ジャパをする資格が無いけど、自分も皆の為に祈りたい!

ガーヤットリー・マントラに相当するものを唱えたい!

そんな美しい心の持ち主の為に、

そして、生まれや性別に関わらず、誰もがガーヤットリー・ジャパをするべきだ、

という考えから、スムルティで、以下のシュローカが教えられています。

このシュローカは、ガーヤットリー・マントラと同じ意味、同じ効果があります。

ガーヤットリー・マントラと同じ言葉、または同義語が、順番を替えて使われているのです。

また、このシュローカは、サンディヤー・ヴァンダナ(朝夕の儀式)で、

ガーヤットリー・ジャパをする前の、ディヤーナ・シュローカ(瞑想の句)としても知られていますす。

つまり、サヴィターと呼ばれる太陽のデーヴァターを心に思い描いて、

マントラ・ジャパをする心の準備をするためのものです。


写真はイメージです。
このようにイメージすることも
心を使った行為なので、結果を生みます。

もうひとつの代替として「アーディッティヤ・リダヤ・ストートラム」も推奨されます。


特別な資格の問われないシュローカなので、

伝統を尊敬する気持ちがあれば、誰が唱えても良いシュローカです。

シュローカでもマントラでも、唱えるか唱えないかは自分で決めることが出来る、

自由意志を使った「行為」ですから、かならず結果(パラ फल [phala])を生みます。

手を叩く行為を選べば、音が出るという結果が出るのと同じ原理です。

このシュローカを唱えたパラは、ガーヤットリー・マントラを唱えたパラと同等とされています。

祈りはサンカルパが大事です。サンカルパについては、また後日書きますね。



यो देवः सवितास्माकं धियो धर्मादिगोचराः ।
प्रेरयेत्तस्य यद्भर्गस्तद्वरेण्यमुपास्महे
yo devaḥ savitāsmākaṃ dhiyo dharmādigocarāḥ |
prerayettasya yadbhargastadvareṇyamupāsmahe||



チャンティングをされたい方は、出来れば、発声学(シクシャー)を勉強し、
サンスクリットのチャンティングの訓練を受けた人の指導の下で練習してくださいね。


意味の概要


yo devaḥ savitā
そのサヴィトル・デーヴァター(太陽神)が、

asmākaṃ dhiyo dharmādigocarāḥ 
私達皆の知性を人生の目的の達成へ

prerayet
正しく導きますように。

tasya yad bhargas 
サヴィトル・デーヴァター(太陽神)の眩しい光(知識)は無知を焼き尽くします。

tad vareṇyam
その最も高貴で一番に選ばれるべきもの(知識の光)に、

upāsmahe
私達はウパーサナ(対象物に心を置き続けること、瞑想)します。


ガーヤットリー・マントラの意味の理解に大事な要点

  • 私達のインテレクト(思考、心、態度、ベースになる価値感)は間違いや混乱だらけ。

  • それらを焼き尽くしてくれるのが、太陽の眩しい光に例えられる、知識の光。

  • その光を司るのが、サヴィター(太陽神)と呼ばれるデーヴァター(物事の在り方や機能の原理)。

  • 私達のインテレクトの在り方によって、人生の目的達成の在り方が決まる。

  • 人生の目的(プルシャ・アルタ)は4つに分けられる。


 1. ダルマ(調和のある行動、義務を果たすこと、アヒムサーなどの価値感)

 2. アルタ(安定。衣食住、家族、経済、名声など、自分を安心させてくれるもの)

 3. カーマ(快楽。心と身体を喜ばせるもの全て)

 4. モークシャ(自分の本質は「無限=全てにおいて自由であること」がはっきりと分かること)

  • シュローカの中で「ダルマーディ」と、ダルマが一番最初に来ているのがポイントです。ダルマ(調和)が最優先にありきで、ダルマに沿ったアルタ(安定)とカーマ(快楽)の追求が出来て、初めて人間は平和で幸せであり、さらに同時に人間として成長出来て、モークシャの理解への準備が出来るのです。

  • 他の3つの目的は全て、ダルマに頼っているのです。ダルマに沿わなければ、アルタもカーマも遅かれ早かれ失ってしまう。ダルマに沿って生きた人のみにモークシャもあるのです。

  • サヴィターが私達皆のインテレクトを正しい方向へ導いてくれますように。

  • 知識の光が、最も重要で、最優先に選ばれるべきもの。

  • その光に瞑想します。その光を心にとどめ続けるというマインドを使う行為(ウパーサナー)を、私達はします。

意味解釈は、ここ何年かの間に時々、

恩師プージャスワミジが、ガーヤトリー・マントラについてクラスやサットサンガで

何回か話してくれた内容をもとにしています。

プージャスワミジは、ガーヤトリー・マントラの意味を教えてくれることは何度かありましたが、

ディークシャを受けてからマントラジャパをする以外の目的で、

生徒にガーヤトリー・マントラをチャンティングさせることは絶対にありません。

とくに公の場で皆でチャンティングしたり、音楽のような扱いをしたりすることに対しては大きな違和感を感じておられます。


訳文について


正確な意志伝達が出来てこそなので、出来るだけ分かり易い言葉を選んでいます。

解脱とか涅槃とか神とか、

皆がそれぞれ勝手に妄想を築いている手垢のついた言葉を使っても、

コミュニケート出来ないどころか、誤解と更なる混乱に導くだけだからです。

どれだけ言葉を尽くしても、インターネットでは紹介しか出来ません。

きちんと知る為には、必ず伝統的な教授法の下で文献の勉強を修めた

正しいヴェーダーンタの先生の下で、

文献(バガヴァッド・ギーターやタットヴァボーダ等)の教えの聞き込みを続けてください。


ガーヤトリー・マントラの文法


ここからは文法です。興味のある方はどうぞ、Enjoy!

これからの人は、一緒に勉強しましょう!

यः 1/1 देवः 1/1 सविता 1/1स्माकम् 6/3 धियः 2/3 धर्मादिगोचराः 2/3
प्रेरयेत् III/1स्य 6/1द् 1/1 भर्गः 1/1 तद् 2/1 वरेण्यम् 2/1पास्महे I/3
We meditate upon that the effulugence (the light of knowledge) of the sun deity, which burns (the ignorance), that is to be chosen (thus the most exalted).
May that sun deity direct (guide, bless) our minds whose subjects are dharma, artha, kāma, and mokṣa.

·         यः [yaḥ] = the one who = यद् (pron. m.) + 1/1
·         देवः [devaḥ] = effulgent being = देव (m.) + 1/1
·         सविता [savitā] = the sun diety = सवितृ (m.) + 1/1
·         अस्माकम् [asmākam] = our = अस्मद् (pron. m.) + 6/3
·         धियः [dhiyaḥ] = intellect = धी (f.) + 2/3
·         धर्मादिगोचराः [dharmādigocarāḥ] = the one whose subjects are four पुरुषार्थs = धर्मादिगोचरा (f.) + 2/3
o   धर्मः आदिः यस्य सः धर्मादिः = पुरुषार्थाः (धर्मः, अर्थः, कामः, मोक्षः)
o   धर्मादिः गोचरः विषयः यस्याः सा धर्मादिगोचरा = बुद्धिः
o   पाठभेदः – धर्मादिगोचरे 7/1 With reference to धर्मादिः
·         प्रेरयेत् [prerayet] = may he direct = प्र + ईर् (2A) to go + णिच् (causative) to impell + विधिलिङ्/कर्तरि/III/1
·         तस्य [tasya] = of that [savitṛ, the sun diety] = तद् (pron. m.) + 6/1
·         यद् [yaḥ] = that which = यद् (pron. n.) + 1/1
·         भर्गः [bhargaḥ] = that which burns, effulgence = भर्गस् (n.) + 1/1
·         तद् [tad] = on that [effulugence] = तद् (pron. n.) + 2/1
·         वरेण्यम् [vareṇyam] = that which is to be chosen = वरेण्य (pron. n.) + 2/1
·         उपास्महे [upāsmahe] = we meditate = उप + आस् (2A to sit) to meditate + लट्/कर्तरि/I/3