2015年4月11日土曜日

五大元素(パンチャ・マハー・ブータ/パンチャ・タットヴァ)について

ヴェーダでは、

「あらゆる全てのものは、5つの要素からなる」と、教える時があります。

「あらゆる全てのものは、3つの要素からなる」と、教える時もあります。

ってことは、5つでも3つでもいいのかい?

はい、どうでも良いです。100でも何でも構いません。



五大元素という概念を使って、何を教えようとしているのか


「あらゆるもの全て」が把握出来れば、説明するモデルは何でも良いのです。

「あらゆるもの全て」を限られた要素からなるものだと理解出来れば、

「この世にあるものには全て限りがある」ということが分かり、

そして、全ての要素のあり方が、個人と全体に共通すると認識できれば、

「自分の身体も心も、この宇宙と全く離れていない」と分かるのです。

個人と全体に共通する法則を理解するために、デーヴァターが教えられているのです。

ヴェーダでは、デーヴァターを讃える多くの儀式が教えられていますが、

儀式そのものが教えでは無いのですよ。

そして最終的には、「私の本質は、5つの要素ではない」と、

理解出来るために、結局は否定される為に教えているのです。

「これは自分ではない」と否定するには、

綺麗に隈なく、何も残さずに否定しなければならないからです。


パンチャ・マハー・ブータ(五大元素)の一覧と説明


仏教用語と混同されるのを防ぐ為に、英語を先に表記しました。

ヴェーダの知識に関して、ウィキペディアに記載されている日本語の情報は、
全くと言って良いほど信頼できない情報ですが、仏教の場合はどうなんでしょうかね。

ウィキペディアによると、仏教では、空間を「空虚」や「最上の境地」としているようです。

ヴェーダーンタは、あなたが「空虚」だと教えたりしません。
あなたが存在の原理なのだと教えます。

ヴェーダーンタは、あなたが「境地」に達することを教えません。
なぜなら、今そこにいるあなたが、全ての制限から自由な無限の存在だからです。


パンチャ・マハー・ブータ(五大元素)は以下の5つです。

ヴェーダーンタの入門書として知られている「タットヴァ・ボーダ」に沿って説明します。

1.Space、空間(आकाशः [ākāśaḥ] アーカーシャ)

2.Air、空気(वायुः [vāyuḥ] ヴァーユ)

3.Fire、火(अग्निः [agniḥ] アグニ)

4.Water、水(आपः [āpaḥ] アプ)

5.Earth、地(पृथिवी [pṛthivī] プリティヴィー)



5つそれぞれに、

A.サットヴァ

B.ラジャス

C.タマス

という側面があります。

それぞれのサットヴァの側面から、
1.聴覚
2.触覚
3.視覚
4.味覚
5.嗅覚
という知覚が生まれました。

それぞれ知覚のデーヴァターは、
1.聴覚 ディグ(方角を司るデーヴァター)
2.触覚 ヴァーユ(風を司るデーヴァター)
3.視覚 スーリャ(太陽を司るデーヴァター)
4.味覚 ヴァルナ(水を司るデーヴァター)
5.嗅覚 アシュヴィン(医療を司るデーヴァター)

サットヴァの側面を5つを併せて、マインド(思考)になります。

マインドには4つの機能があります。
1)マナス(感覚的思考) チャンドラマー(月を司るデーヴァター)
2)ブッディ(理論的思考能力) ブランマー(智慧を司るデーヴァター)
3)アハンカーラ(自己認識) ルッドラ(シヴァの側面)
4)チッタ(記憶能力) ヴァースデーヴァ(ヴィシュヌの側面)


それぞれのラジャスの側面から、
1.話す為の器官 アグニ(火を司るデーヴァター) 
2.掴む為の器官(手)インドラ(力を司るデーヴァター) 
3.動く為の器官(足)ヴィシュヌ(安定維持を司るデーヴァター) 
4.排出器官 ムリッティユ(死を司るデーヴァター) 
5.生殖器官 プラジャーパティ(子孫繁栄を司るデーヴァター) 
という器官が生まれました。
それぞれのデーヴァターも併記しました。

ラジャスの側面を5つを併せて、プラーナ(生理機能)になります。

プラーナには5つの機能があります。
1)プラーナ(息を吐く機能)
2)アパーナ(息を吸う機能)
3)ヴィヤーナ(循環機能)
4)ウダーナ(排出機能)
5)サマーナ(消化吸収機能)


それぞれのタマスの側面からは、物質が形成されます。
この物質形成のプロセスを、パンチーカラナと呼びます。

まず、5つ全ての元素を半分にします。(50%)
その半分を、さらに4つに分けます。(12.5%)

1.Space、空間の元素の半分(50%)と、
その他の4つ(12.5% × 4)を組み合わせて、
物質的な空間が生まれます。

2.Air、空気の元素の半分(50%)と、
その他の4つ(12.5% × 4)を組み合わせて、
物質的な気体が生まれます。

3.Fire、火の元素の半分(50%)と、
その他の4つ(12.5% × 4)を組み合わせて、
物質的な火が生まれます。

4.Water、水の元素の半分(50%)と、
その他の4つ(12.5% × 4)を組み合わせて、
物質的な水が生まれます。

5.Earth、地の元素の半分(50%)と、
その他の4つ(12.5% × 4)を組み合わせて、
物質的な固体物質が生まれます。



お疲れ様です。。。

ヴェーダーンタを勉強するときに、初めの教科書として普通は、

「タットヴァ・ボーダ」というテキストに沿って、ヴェーダーンタの全体像を掴みます。


ヴェーダは科学ではない


私がリシケシでヴェーダーンタの勉強を始めた時も、タットヴァ・ボーダを教えてください、と先生に教えを乞うて、教えてもらいました。

その時は、この科学の進んだ時代に、宇宙全体をこんな古臭いモデルで説明しなくても、、、と正直思いました。

しかし、ヴェーダは科学ではないのです。

科学とは、目や耳と言った知覚から得たデータを元にして、そこから推論を立て、

実験をして再現し、推論を実証する。というステップです。(プラマーナの項参照)

しかし、ヴェーダが私達に伝えたい情報は、それらとは別のことです。

この宇宙にあるもの全てがどのようにして出来たのかが本題ではなく、

この宇宙の存在(リアリティー)について問いかけるものなのです。

ヴェーダが科学ではない、ということに関しては、また後日詳しく記事を書きますね。


五大元素(パンチャ・マハー・ブータ)の意味


ヴェーダの本題ではないのに、なぜ五大元素のモデルを勉強するのでしょうか。

それは、個人と宇宙全体が離れた存在では無い、ということをしっかり認識する為です。

「宇宙」というと、スケールが大きくて、何か知られていない存在、と聞こえますが、

あなたの身体も心も、しっかり宇宙の一部です。

あなたの心身の中で機能している、生理学の法則、物理学の法則、心理学の法則、Etc,

すべては、全宇宙共通です。

「宇宙空間」という時、あなたの部屋のスペースも、

あなたの心臓の中にあるスペースも、全部含まれているのです。

最近話題のダーク・マターもダーク・エナジーも、

あなたの歯や骨も、今までに感じたことや考えたことも、全ては、

五大元素(パンチャ・マハー・ブータ)の、サットヴァ・ラジャス・タマスの組み合わせです。

全てはミクロとマクロのレベルで変化し続け、個と全体は循環を続けています。

当たり前のことを並べているだけですが、

目先の事柄でいっぱいで、感情や習慣に流され、この当たり前のことが見えなくなりがちです。

それをしっかり見せてくれるのが、パンチャ・マハー・ブータのモデルです。

「私は、この宇宙全体と離れた存在では無い」と常にはっきり見える人には、

心の平安があり、周りの者すべてに対しての思いやりと愛情があります。

そんな人の心には、ヴェーダの最後の教え、ヴェーダーンタがすんなりと入ってくるのです。



追記:

タットヴァボーダについて、プージャスワミジが

「デーヴァターのところ、すごく大事だからね」と言っていたのを覚えています。

デーヴァターのところが一番古臭い感じがする、と昔は思っていましたが、

プージャスワミジの近くで勉強を続けさせてもらい、

「アーディバウティカ(आधिभौतिकम् [ādhibhautikam])、

元素や生物という側面から個人と全体が離れていないことを知る」だけでなく、

この「アーディダイヴァタ(आधिदैवतम् [ādhidaivatam])、

デーヴァター(様々な法則)という側面から個人と全体が離れていないことを知る」ことの重要性をいつも見せてもらっています。


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