個人が自分の行為を選択する基準を、ヴェーダでは2種類に分けて説明しています。
1.ダルマ(その時その場所で自分が取るべき行動)
2.アダルマ(ダルマとは別の行動)
これらは相対的な基準です。ひとつの行為について100%純粋に、絶対的ダルマ、もしくは絶対的アダルマと断定することは出来ません。私達に出来ることは、妥協をしないように努めることだけです。「妥協をしない」とは、自分に知り得る限りの情報の中で、自分に出来るベストの行為を選択している、と自分に対して言えることです。
この2つの行動基準の相対性をみると、ダルマは人間を精神的に成長させてくれるのに対して、アダルマは精神的未成熟さの表れであり、人間を退化させる行為です。
さらに、ダルマの行為は、人間の特権である自由意志を使って選択する行為であるのに対し、アダルマは自由意志が動物的不安や欲求に乗っ取られている時に選択される行為です。
ダルマの行為とは、宇宙のあり方と調和した行為ですから、その結果も、快適さや幸福といった調和的な経験を、行為をした人にもたらしてくれます。アダルマはその逆です。おろし金に肌を擦りつけたら怪我をするのと同じ原理です。